”発達障がい” じゃなくて、”スペシャルタレント” なんです

私たちERRCでは、”発達障がい” ではなく ”スペシャルタレント” という言葉を用い、個性と才能を大切にするポジティブな概念を広めていきたいと思っています。

ERRCのカウンセリングでも実際に感じることですが、”発達障がい” と診断されたり疑いのある人が抱える問題や悩みの多くは、この否定的な名称によって生じる、自己否定やネガティブな感情が元で深刻化したケースも多いように感じます。周りの人もまた、”発達障がい” という言葉によって身構えてしまうこともあるでしょう。こうした否定的な名称のために偏見や誤解が生まれ、才能豊かな人々が社会の片隅に追い込まれてしまうのは、本当に残念なことです。

ERRCの最大の使命として、この否定的で偏った見方をなくし、肯定的に ”スペシャルタレント” という才能や個性を、当事者や支援者の皆様とともに、社会に証明していきたいと思っています。


スペシャルタレントとは?

 不登校やいじめ、引きこもりなど、学校生活の中で悩みを抱え、苦戦をする子どもたちには、ある共通の気質というものが見られます。真面目で柔軟性に乏しく、ちょっとしたことに強いこだわりをもち、空気が読めない。ユニークな言動やストレートな物言いによって、周りの人とトラブルを起こしてしまう。人間関係づくりに欠かせない能力に弱さが見られます。しかし、こうした子どもたちの多くは、内に秘められた豊かな感性と素晴らしい才能 (スペシャルタレント) をもっていたのです。私たちERRCは、彼らの否定的な部分だけでなく、あるがままの個性と才能が発揮されることを願い、”スペシャルタレント” と呼んでいます。これは、家族メンタルサポート協会の理事長であり、ERRCの応援団の一人でもある、森薫先生によって名付けられました。

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当事者の経験談


発達障がいじゃなくて、スペシャルタレントなんです

 これまでも何度かお話しているように、”発達障がい” という名称には大きな違和感を感じます。否定的な部分だけを見て評価することで、周りにも誤解や偏見を与えてしまうことが多いのです。「発達障がいだから通常のクラスでは無理」と学校の先生が拒否したり、「うちの子には近づけない方がいいかしら」と周りの親御さんが身構えてしまうケースも実際に見られます。これは隠された才能や個性を無視するだけでなく、評価する側の都合のいいように子どもたちが扱われてしまう危険性をもはらんでいます。

 ”発達障がい” と診断されれば、どうしても否定的な部分だけが注目されます。無理やり矯正しようとすれば、彼らの繊細で傷つきやすい心は壊れてしまうかもしれません。こうしたことが原因で引き起こされる精神症状や身体症状、さらには不登校や引きこもりも、「もうやめて!」と心が叫んでいる SOS なのです。”発達障がい” ではなく ”スペシャルタレント” として、良いところや優れていることも含めて、彼らを丸ごと評価し受け入れることが必要です。

 こうした子どもたちの多くは、好きで人間関係をこじらせているわけではありません。彼らのこだわりや繊細で豊かな感性に、もっとポジティブに注目してあげることで、良いところや得意なことをたくさん発見できるはずです。”発達障がい” という一方的で否定的な見方を180度変え、「あなたはスペシャルタレントで、これはすごいことなんだよ!」と肯定面からしっかりサポートすることが、本当の意味での支援になることでしょう。


発達障がいという名のビジネス

 これは6月7日の勉強会でも議題に挙がりましたが、発達障がいという言葉自体は、良くも悪くも誰もが知る言葉として広く社会に知れ渡っているため、今やさまざまなビジネスとしても利用されています。テレビ番組でも特集を組まれたり、関連した本もたくさん売られています。この一種のブームのような状態とは裏腹に、その実態や正確な内容については誤解や偏見も多く見られます。概して、発達障がいとは良くないことであるように決めつけられていることが多いようです。何度もお話していますが、これは日本人の根底にある「普通が一番」「みんなと一緒が良い」という協調性を過度に重視した風潮や文化背景が大きく影響しているものと思われます。実際に、日本では友達もいなくて言動も問題視されてきた人が、海外では問題なく普通に扱われた、というようなケースは決して少なくありません。日本で発達障がいが必要以上に問題視されるのは、「みんなと同じ普通になりたい」と思う気持ちが非常に強い国民性のためと言えるかもしれません。

 

 こうした傾向を利用し、「普通になるために」をうたったさまざまなビジネスがあることに注意しなければいけません。先にも述べたように、否定的な見方から、無理やり ”矯正” を行うことはとても危険です。彼らの苦手分野を無理やり克服させようとするのは、まさに傷口に塩をすり込むようなものです。もともと得意と苦手に大きな凸凹が見られる気質ですから、苦手分野に集中させることなどもってのほかなのです。これは何もスペシャルタレント気質に限ったことではありません。子どもの可能性を伸ばすためにも、これからはクロスエデュケーションという、得意を伸ばす教育が合理的で有益なのです。


 ”発達障がい” という否定的な名称を利用し、日本人の心理を巧みに操ることで儲けているビジネスもたくさん存在しているということを忘れてはいけません。当事者の人は、こうした偏った風潮に惑わされずに、あるがままの自分を受け入れ、自身の「取扱説明書」を作成しましょう。周りの人も、良いところも悪いところも含め、その人丸ごとをきちんと理解してあげるということを忘れないでほしいものです。


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